東京・羽田空港の滑走路で日本航空(JAL)の旅客機と海上保安庁の航空機が衝突、炎上し、5人が亡くなった事故について思うこと。
NHKのニュースでみた動画では、衝突直前、海上保安庁機のライトは動いていないので機体は停止していた。後に40秒停止していたと報道された。
事故機の破損状況を見ると、地上に停止していた海上保安庁機の後方から着陸しようとした日本航空機の左翼エンジン近くが接触し燃料がもれ、その部分を中心に火災が起こった。
海上保安庁機の前部(操縦席?)にいた機長は衝突とは認識せず爆発が起こったと思い緊急脱出した。後方に搭乗していた5名の方々は即死ではなかったか。
管制との交信は英語で行われる。海上保安庁機の機長は事故直後、「管制官から進入許可が下りていたという認識だった」という趣旨のことを話していた、と報道された。
日本語で公表された交信記録では
17:45:19 【JA722A衝突機】滑走路停止位置C5に向かいます。
と復唱している。
とすれば、C5の認識誤りがあったのではと疑問が生じる。
しかし、問題はこれだけではない。
17:44:56【東京タワー】JAL516、滑走路34R着陸支障なし。
と連絡後、衝突が起こる17:47:30頃までの3分弱、【東京タワー】と事故機2機との交信は行われていない。つまり、海上保安庁機の停止位置を確認していない。確認していれば、危険な状況にあるとして、2分程度あるので着陸のやり直しを指示できたはずだ。
人間は必ず誤りを犯すという前提で重大事故対策は策定される。最近の自家用車は近接センサーを持ち、危険をすぐ知らせる。国際空港がこのようなセンサーを設置していないことはないのでは?管制官は重大事故になる位置関係を把握できたはずである。
ここで思い出すのは。チャールズ・ペローが例示した定常事故の考えだ。以前、「認定こども園通園バス内で3歳の女の子が熱中症で死亡した事件」について同じ考えを持った。報道は単に個人の認識誤りだけに焦点を当てるのではなく、巨大科学・技術システムが構造的に抱え込む特性に十分留意すべきである。
JA722A(海上保安庁機)とJAL516(日本航空機)に関する交信記録<仮訳>
- 能登半島地震の救援物資を運搬する目的で海上保安庁の航空機が羽田空港から発進するため誘導路に入った。
- 衝突の起こった17:47:30頃直前には、C滑走路からの出発機はJA722A(海上保安庁機:出発機1番目)、DAL276(出発機2番目)、JAL179(出発機3番目)があった。
- 管制指示
17:43:26
【東京タワー】DAL276(出発機2番目)滑走路停止位置C1へ走行してください。
【DAL276】 滑走路停止位置C1 DAL276
17:44:56
【東京タワー】JAL516、滑走路34R着陸支障なし。
17:45:01
【JAL516衝突機】滑走路34R着陸支障なし JAL516
17:45:11
【JA722A衝突機】JA722A C誘導路上です。
【東京タワー】 JA722A、C5上の滑走路停止位置まで地上走行してください。
17:45:19
【JA722A衝突機】滑走路停止位置C5に向かいます。
17:45:40
【東京タワー】JAL179、3番目。滑走路停止位置C1へ走行してください。
【JAL179】滑走路停止位置C1へ走行、離陸準備完了。
17:45:56
【東京タワー】JAL166、2番目、滑走路34R進入を継続してください。
17:46:06
【JAL166】減速160ノット、滑走路34R 進入を継続。
17:47:23
【東京タワー】JAL166、最低進入速度に減速してください。
【JAL166】JAL166
17:47:27
3秒無言
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASS1363TFS13UTIL024.html?iref=comtop_ThemeRightS_01
海保機に滑走路への進入指示は見当たらず 国交省が交信記録を公表
日航機・海保機事故
伊藤和行2024年1月3日 18時36分